こんにちは、ちうぱんです。
ここ数年のCPU性能の向上や多コア化もあって、「PCゲームにCPU性能は必要ない」が定説化していました。
筆者自身のPC環境でも、最新世代のグラボを用意すれば、Core i3(第8世代8350k)でも重量級ゲームを2K最高設定でプレイできていました。
ところが、2020年11月発売の「アサシンクリード ヴァルハラ」をプレイしたところ、直近までの最新グラボである「Asus ROG-STRIX RTX2070S」ですら動作不能(3回に2回の割合でロード処理から復帰できない)という状況となりました。
そこで、「スペックが足りないならパーツ投資しようじゃないか!」と安直に考えていたら、総額15万の追加投資という沼にハマった話をつらつら書きます。
動作不能でもベンチマークは悪くない
ゲーム本編はまともに動作しない「アサシンクリード ヴァルハラ」ですが、ゲーム付属のベンチマークではまずまずのスコアを叩き出します。
下の画像は2K最高設定でのベンチマークですが、最低FPSはともかく平均スコアは余裕で60FPSを超えています。VRAMも余っていますし、多少はもたつく場面があったとしても、まずまず快適にプレイできるはずのスコアです。
なお、この時点ではのマシンスペックは、以下のとおりです。いちおうベンチ前に再起動はかけてますが、ベンチ専用機ではないので、ウィルス対策ソフトなどはONのままです。ほぼ日常環境でのベンチスコアとなります。
・CPU Core i3 8350k
・GPU Asus ROG STRIX 2070S
・メモリ 16GB
さらに、同じ条件で旧作品「アサシンクリード オデッセイ」のベンチマークをとってみたのが下の画像です。なぜか最新作品より平均FPSは低いですが、ゲーム本編は特に問題なく動作します。少なくとも、ゲーム中に落ちるとか滅多にありませんし、ロード処理から復帰できないなど皆無です。
というわけで、なぜ「アサシンクリード ヴァルハラ」で動作不良が起きるのか、よく理由が分からない、というのが正直な気持ちでした。
確かに、Windows10のタスクマネージャーでは、CPU処理が100%に張り付いていることに気付いていましたが、この時点ではまだ「CPUはゲームに関係ない」という固定観念に縛られていたわけですね。あとから振り返ると、非常に愚かしい思い込みですが。
動かないならパーツ交換だ!自作er沼のはじまり
というわけで、「スペック不足ならパーツ交換するしかない」という安直な?結論に飛びつき、まずはお手軽なところからメインメモリを16GBから32GBに増設しました。
メモリ価格もメーカーやオーバークロックの可否でピンキリですが、無難にCrucialを選択。挿せば動く、無期限保証の安心感があります。
下の画像は、メモリを32GBに増設後のベンチマーク結果です。
最小・平均ともに、FPSは若干改善しました。最低FPSが改善すると、FPSの振れ幅が安定しますね。ベンチ結果の折れ線グラフも、きれいな波形に近づいてきました。
そしてさらに、常駐ソフトの中でも負荷の高いウィルス対策ソフト(ウィルスバスター)をオフにしてみたのが次の画像です。
平均FPSは80のままですが、最小FPSが13から35へと大幅改善しました。いかにウィルス対策ソフトの負荷が高いかを痛感させる結果ですね。通常、このスコアであれば、さらに上の画質設定も狙える状況のはずです。
しかし。。。
ベンチマークでは良好なスコアを叩き出すものの、ゲーム本編は相変わらずの動作不良です。3回に2回はロード処理から復帰できないという状況に変化はありません。
追加投資でGeforce 3070を導入してみた
しかたなく、メモリ追加とは比較にならない大型投資となりますが、「アサシンクリード ヴァルハラ」と同時期に発売されたばかりの「MSI RTX 3070 GAMING X TRIO」を8万円で購入しました。
どうせならRTX 3080を買っちゃおうかとも思いましたが、品薄で価格がプレミア化していることや、電源が650Wで足りるか不安なので踏みとどまりました。
しかし、ここで大きな問題が発生。
グラボがケースに入りません(泣
自作erとしては初歩的なミスです。サイズの確認を怠った自分が悪いんですが、まさかミドル級のグラボで300mmを超えてくるとは想定外でした(ちなみに、RTX3070でも300mm以内の製品はあります)。
メインPCのケースには静音性で定評のある「Antec P100」を使っていたのですが、ドライブベイが固定のため、拡張カードは317mmまでの対応となります。「MSI RTX 3070 GAMING X TRIO」の長辺は323mmなので、わずか6mmのオーバーとなります。
わずか6mm、されど6mm。
無理を承知でグラボを突っ込んでみたところ、グラボの先端部がドライブベイに当たる(ドライブベイを押す感じ)ものの、強引に設置することは可能でした。
とりあえず、この状態でベンチマークをとったのが下の画像です。
あれ?うそ・・・
まったく目を疑ってしまいましたが、グラボ交換前よりスコアが落ちてしまいました。
すでに各種ベンチマークが公開されているとおり、RTX3070はRTX2080Tiと同等の性能向上を果たしており、4Kゲームにも対応という触れ込みのはず。
それがこの結果。。
もちろん、ゲーム本編がまともに動作しない状況にも変化はありません。
ここまでくると、マシンスペックの問題ではなく、ソフト側の不具合を疑い、追加パッチや口コミ情報を漁ってみました。しかし、同じような症状のトラブル情報は見つかりません。
もう八方塞がり、お手上げの状況です。
ちなみに、筆者はヤフーショッピングで実勢価格8万円の「MSI RTX 3070 GAMING X TRIO」を、ポイント還元後の実質価格55,670円で購入しました。ヤフーショッピングはポイント倍率アップの基準が超良心的なのでお勧めです。
グラボが入らないのでケース交換する羽目に
Geforce 3070でも「アサシンクリード ヴァルハラ」が正常動作しない謎現象に困惑しながらも、グラボがケースに入らないという物理的問題を解消するため、メインPCのケース(Antec P100)とサブPCのケース(Fractal Design R5)を交換しました。
運用中の2台のPC間でケースを取り替えという、リスキーかつ不毛な作業となります。自作erでもこんな経験をした人は少ないのではないでしょうか(もちろん自分も初めてです)。
グラボ交換だけならドライバ確認なども含めて30分もあれば十分なところ、サイズオーバーのグラボを買ってしまったがため、一日半の作業となってしまいました。正直なところ、新規に1台自作するより面倒かもしれません(OSインストールが無い分だけマシですが)。
あと、これから自作する人やBTOで購入する人は、ケース選びは非常に重要です。BTOの場合、ケースを選べるショップは少ないと思いますが、少なくともドライブベイが取り外し可能かはチェックしましょう。そうでないと、筆者のように、グラボ増設のためにケース交換が必要という落とし穴にハマります。
パーツ選択肢でBTOショップを比較!
せっかくなのでCPUもCore i9に交換してみた
上記で繰り返し書いてきたように、筆者はこれまで「CPUはゲームに関係無い」という固定観念に縛られていましたが、「ケース交換でマザボを外すのなら、いっしょにCPUも交換しちゃえ!」ということになりました。
せっかくなら最新世代(第10世代)のCPUに交換したいところですが、マザボのソケットがLGA-1151のため、第9世代のCore i9 9900kを購入しました。
Ryzen5000番台の価格が落ち着いたらRyzenに乗り換えたいので、今回は手持ちのマザーボードで使えるCPUを選択した形です。ちなみに価格は5万円+αといったところで、Ryzenとの性能差を考えるとモヤモヤしますが、第9世代intelのリセールバリューが高いことを祈ります。
また、CPUクーラーもこれまでの「Nocture NH-U14S」では厳しいだろうと考え、静音最強と呼び声高い「Nocture NH-D15」に交換しました。こちらは1万円+αくらい。
ちなみに、ここまでの追加パーツ代は以下のとおり。
CPU Core i9 9900k 50,000円
グラボ MSI RTX 3070 GAMING X TRIO 80,000円
CPUクーラー Nocture NH-D15 11,500円
メモリ 6,500円
合計 148,000円
PS5を2台買ってもお釣りがくる金額ですね。自分でもアホかと思いますし、家族が聞いたら呆れると思います。ほんとに自作沼は罪深いです。
あと、CPUを交換しても、OS周りは何の設定も不要でした。ライセンスの再認証みたいな情報をネットで見かけて覚悟していましたが、電源ONでこれまでどおりOSが起動しましたね。もちろん、SSDは同じものを継続使用なので、使用環境も従来どおりです。
CPU交換でゲーム本編が正常動作!
さて、もはやパーツ換装前とは別物のハイエンドなゲーミングマシンが爆誕し、さっそくベンチマークをとってみたのが下の画像です。
正直なところ、15万ものパーツ投資をした割には、あまりパッとしない結果ですね。こんなもんか、という感じ。ただ、タスクマネージャーでCPU占有率をチェックしたところ、おおむね40%前後と余裕がありました。8C16Tを満遍なく使っている印象です。
さて、ベンチ結果は凡庸でしたが、ゲーム本編が快適に動作するようになりました。いわゆる「ヌルヌル」な感じですね。
2020年重量級ゲームには8コアは必須だと思う
さて、最初に「アサシンクリード ヴァルハラ」のベンチを走らせてから約2週間、ようやく快適なプレイ環境を構築することができました。
結局のところ、これまでの筆者の固定観念を大きく覆し、CPUがボトルネックになっていたことが分かりました。「CPU性能が低いと、グラボの性能を活かしきれない」どころの話ではなく、最新の重量級ゲームでは動作させることすら不可能だということです。
注意したいのは、CPU性能の高低は、ベンチマーク結果にはほとんど現れないというところでしょうか。別の言い方をすれば、「平均FPS60=まずまず快適にプレイできる」という理解は正しくない、というのが今回の経験から得た学びです。
やはりベンチマークはあくまでベンチマークであり、実際のゲームプレイ時には、データ読み込みも含めて様々な処理を行っているわけですね。しかも、ウィルス対策ソフトなど高負荷な常駐ソフトが並行動作しています。それらの処理にはシングルスレッドの性能だけでなく、コア数が非常に大切だということを実感しました。
筆者のプレイ環境ではCore i9 9900k(8C16T)でややCPU処理に余裕があったことを踏まえれば、当面は8C8T又は4C8TのCPUでも運用可能だと思います。ただ、今後のゲーム製作ではRyzen5900(12C24T)やintel 10900k(10C20T)あたりがターゲットになると思われるため、PCを新調するなら8C16Tは必須でしょう。
というわけで、今回の経験からいろいろと勉強になりましたが、「PCゲームはグラボにお金を使えばいい」という過去の定説から、「これからはCPUとグラボのバランスが重要」という考え方に変わりました。上で書いたように、多コア化を前提としたゲーム製作にシフトしているのを実感します。
というわけで以上です。長文をお読みいただき、ありがとうございます。